【3月27日 AFP】2018年に解散したスペイン北東部バスク(Basque)地方の分離独立を目指す非合法武装組織「バスク祖国と自由(ETA)」の元戦闘員で恋人関係にある受刑者同士が、服役中の刑務所内で同房になることを認められ、被害者団体は反発している。

 バスク自治州の刑務所を管轄する同州司法省の広報担当者はAFPに対し、アシエル・マルドネス(Asier Mardones)受刑者とヨスネ・オナ(Josune Ona)受刑者について、2人は「2006年以来のカップル」で、服役中の北部アラバ(Alava)県の刑務所で「同居が許されている」と語った。

「カップルによる同房の共有は今回が初めてではなく、同性カップルでも前例がある」という。

 25日付のバスク地方の日刊紙エル・コレオによると、2人は2003年に複数の警官を襲撃し負傷させた罪などで禁錮25年の判決を受けた。

 ETAはスペイン北部とフランス南西部にまたがるバスク地方の分離独立を求めて約10年にわたり、爆破事件や銃撃事件を起こすなどする武装闘争を展開。850人以上の犠牲を出した末、2018年に解散を宣言した。

 当時、欧州連合(EU)と米国はETAをテロ組織として指定していた。スペイン人の多くは、ETAによる暴力が今も傷跡を残していると考えており、元メンバーの扱いは依然、非常に微妙な問題となっている。

 スペインのテロ被害者協会(AVT)は25日、バスクの司法当局に宛てた書簡を公開。マルドネス、オナ両受刑者が同室で服役しているというニュースは、「テロ被害者の集団に深い動揺と憤りを引き起こした」と非難した。

 同団体はまた2人が州都ビトリア(Vitoria)近郊で行われる講義を受けるために、刑務所からの外出を許可されているとの報道について明確な回答を要求した。

 一方、州司法省の広報担当者は、2人の同房許可は「特権ではない」とし、矯正当局が罪名で「受刑者を区別することはない」と述べた。(c)AFP