【3月27日 東方新報】中国で「通用航空(General Aviation)」とは、公共の航空輸送業務以外の民間のさまざまな飛行機を使って行う業務全般を指す。

 自身が操縦する飛行機で街を跨いで飛び回り、美食を探し、機体に自分の名前やマークをペイントし、操縦教官として人びとが夢を追いかけるのを手助けする──、女性パイロットの尤尤(Youyou)さんは、重慶市(Chongqing)で中国新聞社(CNS)の記者に彼女の日常を紹介した。彼女は「最近、『低高度経済』がますます熱を帯び、一般の人びと新たな業務キャリアの機会をもたらしている」と話す。

「低高度経済」とは、民間の有人・無人の飛行体を利用した総合的なビジネス形態のことで、有人飛行や貨物の輸送など低高度の飛行活動を原動力としている。

 記者の調査では、中国の幾つかの省が2024年の政府業務報告で「低高度経済」について言及していた。

 彼女は「この仕事に接する前は、飛行機はエキサイティングなものだとしか思っていなかったけれども、今では生活に密着したものです」と話す。

 彼女は初飛行をした後すぐに低高度飛行に惚れ込んだ。通用航空用の操縦免許を取得しただけでなく、飛行教官の資格を取得し、「プロの教官」になったという。

 彼女の話によると、操縦免許の身体的な条件は厳しくはなく、17歳から70歳の年齢範囲で取得できる。彼女は先日67歳の生徒の免許取得を手伝った。費用は機種によって異なるが「安くはないが、思っているほど高くはない」という。例えば、重慶市の両江新区にある民間航空会社は、操縦免許取得請け負い料金について「一括8万8000元(約184万5421円)、別途費用無し」という条件を提示した。

 通用航空業務を担う民間会社の責任者・馬相鳴(Ma Xiangming)氏は「低高度飛行はお金を燃やして遊ぶだけだと言う人もいるが、そんなことはない。尤尤さんのように学ぶだけでなく教えるまでになって、収入も悪くない。彼女は低高度航空経済の発展の路線に乗っている」と指摘する。

 尤尤さんのようなケースは決して例外ではない。朱奕燃(Zhu Yiran)さんは「パラグライダー がストレス軽減になり、ちょっとクールだな」と思い、パラシュートサークルに入会し一連のプロモーションを経て、今や彼女は「帯同飛行」の資格を取得している。

 ドローンを愛しその業界に入った楊亮(Yang Liang)さんはCNSの記者に対し「空中撮影、農薬散布、訓練などの仕事があります。将来ドローンを利用した業務をさらに開拓して、この業界のビッグネームになりたい」と話している。

 工業、農業、サービス業に広く利用されている低高度経済は、国民に雇用機会と利益をもたらすだけでなく、新たなビジネスモデルを生み出すものだといえる。例えば、最近多くの自動車会社が「空飛ぶ車」プログラムを立ち上げたが、これは低高度経済と伝統産業とを合体させるものだ。

 通用航空分野の企業は、「飛行教習所」を運営することができ、パイロットには、技能訓練、手続き、飛行ホスティングサービス等の業務の機会がある。

 重慶工商大学(Chongqing Technology and Business University)成都重慶双城経済圏合作発展センターの莫遠明(Mo Yuanming)研究員は「低高度経済におけるイノベーションの度合いが高まるに連れて、資格取得へのアクセス、身体的機能、専門技能、業卯シナリオの応用、緊急対応など、関連業務の従事者や利用者に新たな挑戦、興奮、経験を与えるものになっている」と話す。

 莫氏は「新しいジャンルは業務キャリアのための新しい機会をもたらし、新しいキャリアは雇用の選択肢を豊かにする」と指摘する。

 莫氏は、この分野の職業に就きたいと考えている人に、一定の経済的ベースに加え、実践的技能の熟練、安定した心理的資質、良好なコミュニケーション能力などを身につけることを勧めている。(c)東方新報/AFPBB News