【3月20日 AFP】オーストラリア政府は19日、駐米大使を務めるケビン・ラッド(Kevin Rudd)元首相について、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領が「間抜けだ」と侮辱し、自らが次期大統領に就任した場合に追放する可能性を示唆したことに対し、ラッド氏は「非常に有能だ」と擁護した。

 トランプ氏はテレビインタビューで、かねて自身に批判的なラッド氏についてコメントを求められると、「少々性格が悪いと聞いている」「間抜けだと聞いている」と回答。「彼が少しでも敵対的であれば、(米国に)長くはいられないだろう」と付け加えた。

 これに対し、オーストラリアのペニー・ウォン(Penny Wong)外相は20日、ラッド氏は豪政府の信頼を得ており、引き続き駐米大使にとどまると明言。報道陣に「ラッド氏は非常に有能な大使だ。米国においてオーストラリアの利益を促進するために素晴らしい仕事をしていると、議会全体で認められている」と述べた。

 特にラッド氏が駐米大使に就任して以来、米英豪3か国間の安全保障枠組み『AUKUS(オーカス)』に関して「驚異的な量の仕事がこなされている」と称賛。「彼は左右両派から積極的に議員に働き掛けた」と述べた。

 さらに、外相時代も含めたラッド氏の経歴は、誰が次期米大統領に選ばれても協力できる経験とスキルを意味すると述べた。

 2023年3月に駐米大使に就任したラッド氏は、以前からトランプ氏について「変人」「史上最も破壊的な大統領」や「西側に対する裏切り者」などと評していた。

 オーストラリアは流ちょうな中国語を話すラッド氏の駐米大使就任以来、原子力潜水艦など多くの米国製最新兵器の開発を手掛けるための協定に重点を置いている。(c)AFP