【3月20日 AFP】イタリア労働連合(UIL)は19日、労働災害による昨年の死亡者数が1041人だったと発表し、首都ローマのポポロ広場(Piazza del Popolo)に1041個のひつぎを並べて啓発活動を行った。

 段ボール製のひつぎの横には、「毎年、1000人が仕事に行って帰ってこない」「ゼロにはまだ程遠い」と書かれた看板が立てられた。

 UILのピエールパオロ・ボンバルディーニ(Pierpaolo Bombardini)書記長はひつぎを並べた目的について、「労災死について啓発し、すべての人に行動を起こす必要性を改めて知ってもらうとともに、亡くなった人々を忘れないでいてもらうためだ」とAFPに説明。

「政府や政治家に、こうした殺人を防ぐために具体的な措置を講じるよう求める」意味も込められているとし、「なぜなら、これは殺人だからだ。安全規則が守られていない状態で起きる死は、事故ではなく殺人だ」と強調した。

 イタリアでは労働災害による死亡事例が後を絶たず、起きるたびに安全策をめぐる論争が起きている。先月にも、フィレンツェ(Florence)のスーパーマーケット建設現場でコンクリート構造物が倒壊し、作業員5人が死亡したばかり。

 欧州連合(EU)統計局(Eurostat、ユーロスタット)の2021年のデータによると、イタリアの労災死亡者数は10万人当たり3.17人で、欧州平均の2.23人を上回った。一方、フランスは4.47人、オーストリアは3.44人とイタリアを上回っている。

 EUの労災死亡者数で、ワースト3はリトアニア、マルタ、ラトビア、最も少ないのはオランダ、フィンランド、ドイツだった。(c)AFP