チョコパイ=オリオン(c)MONEYTODAY
チョコパイ=オリオン(c)MONEYTODAY

【03月18日 KOREA WAVE】韓国で国民的な菓子として知られるオリオンの「チョコパイ」が来月、発売50周年を迎える。1974年4月生まれのチョコパイは、国内製菓市場で立志伝的な製品だ。多種多様な新製品が溢れる製菓市場で、長い間ハーフチョコケーキ部門1位を維持している。昨年時点でグローバル売り上げ総額が7兆ウォンを越え、国内だけで2兆3000億ウォンが売れた。総販売個数は460億個で、これは地球130周分に相当する。

チョコパイの誕生は、オリオン研究所の研究員たちが偶然入った米国のあるカフェで始まった。いわゆる「超大ヒット」製品の始まりだった。1970年代初め、韓国食品工業協会(現食品産業協会)の主管で食品技術者3人と製菓先進国の欧米を視察していたオリオン研究所の研究員たちが立ち寄った米国のあるカフェで、牛乳と一緒に出されたチョコレートコーティング菓子が研究員たちの味覚を虜にした。

韓国に戻ってきたオリオンの研究員たちは、直ちに新製品の開発に着手したが、世の中に出るまでにはかなり長い時間がかかった。2年余りにわたる実験と開発を続けながら失敗を繰り返した。最初は小規模な手動式で作った。当時の生産規模は月2億~3億ウォンレベルだった。製品パッケージも青色で、今の赤色と違っていた。

年を重ねるごとにチョコパイの真価が現れ始めた。1977年に17億ウォンだった年間売り上げは▽1978年26億ウォン▽1979年83億ウォン▽1980年122億ウォンに急増した。オリオンは全社的に品質改善に総力を傾け、次第に自動化設備を導入した結果、1996年12月の月売り上げが50億ウォンを超えた。韓国製菓業界の単一製品の売り上げとしては初めてのことだった。

爆発的なチョコパイの成長は時代背景と連動している。1960年代の経済開発計画以後、1970年代に入って経済が急速に成長し始め、食生活文化の変化につながり、消費者はより高級で差別化された菓子を求め始めた。オリオン関係者は「チョコパイはいわゆる作りさえすれば売れる製品であり『世の中にこんなお菓子もあったんだ』という話が出てくるほど消費者の反応は爆発的だった」と回想した。

オリオンはチョコパイが50年間、長生きできた秘訣が「品質」にあると説明する。チョコパイは一般のビスケットとは異なり、特殊な配合・製造過程を経て作られる。発売直後から形と包装デザインを真似た製品が続々登場したが、オリオンの品質を超える製品はなかった。チョコパイは水分が含有量が非常に高いマシュマロと、相対的に水分が低いビスケット、チョコレートの配合比率を核心的な製造の秘訣として挙げる。

オリオンが見いだした最適のチョコパイの水分含量は13%だ。黄金比率であるこの数値を見つけたのは、チョコパイが作られてから23年後の1997年。開発の背景は興味深い。オリオンが中国に進出して事業を拡張していた1995年、「密封された製品にカビが発見された」という消費者の苦情が出ると、全量リコールを決め、10万個を焼却する決定を下した。その後1年間、新製品を出さずに最適の水分含量を見いだすことだけに没頭し、この数値を発見した。危機をチャンスに変えたのだった。

チョコパイはその後、さまざまな変身を試みた。2016年3月、オリオンは創立60周年を迎え「チョコパイバナナ」を発売した。チョコパイ誕生42年目にして初めて発売した姉妹製品だ。2017年の「チョコパイイチゴ」を手始めに、毎年春に「チョコパイイチゴ&ヨーグルト」「チョコパイピスタチオ&ベリー」などさまざまな製品を発売している。先月は、マシュマロの代わりにクリームを入れた製品を発売した。

オリオンは海外市場攻略のため、原料の基本配合比率は維持しながら、国別の文化と特性を反映させながら製品を開発している。開発の中枢はオリオングローバル研究所だ。韓国をはじめ中国・ベトナム・ロシア市場の競争力強化のために「グローバル統合管理体系」を構築した。チョコパイは現在、約60カ国で年間35億個以上売れている。

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