【3⽉25⽇ Peopleʼs Daily】中国・江西省(Jiangxi)景徳鎮市(Jingdezhen)内の陶渓川文創街区では、日が暮れても人の往来が絶えない。ここは屋台に並べられた陶磁器と観光客の出会いの場だ。

 呉安然(Wu Anran)さんにとっては見慣れた光景だ。景徳鎮で創業したばかりの10年前には、呉さんもここに屋台を出していたからだ。今では自分の工房を持ち、創作した陶磁器作品の数々が中国内外で人気を集めている。

 磁器の都である江西省景徳鎮市には近年になり6万人以上が滞在し、うち外国人はピーク時には5000人以上に達した。彼らは「陶磁器の夢」を抱いてやって来る。

 景徳鎮は2000年以上の陶磁器作りの歴史、1000年以上の官窯の歴史を持つ。景徳鎮の陶磁器は1000年余りにわたって海のシルクロードで運ばれ世界に向かった。今では景徳鎮で、新たなタイプの文明の融合が発生している。

「陶磁器を作っている人なら、誰だって景徳鎮に来たくなります」――コンゴ民主共和国人のスタン(Stan)さんの口癖だ。

 景徳鎮には中国で唯一の、名称に「陶磁器」の文字を含む高等教育機関の景徳鎮陶瓷大学(景徳鎮陶磁器大学、Jingdezhen Ceramic University)がある。同大学は1950年代以降、世界の60以上の国と地域からの3000人余りの留学生を受け入れてきた。スタンさんは同大学で陶磁器について学び、修士号を取得した。今は母国で教えているが、改めて景徳鎮に来て交流し、学ぶこともしばしばだ。スタンさんは「私はここの種類の多い磁器を愛しています。景徳鎮の文化的雰囲気にも深く魅了されます。ここでは自分のアイデアを引き出すことができます」と語った。

 景徳鎮には美術館やスタジオなどが充実している。サロン、講座、フォーラムなども常時開催されている。さまざまな国籍や文化的背景を持つ若者の交流にはうってつけだ。外国人関係者の人気が高い国際陶芸村では、スタイルの異なる芸術家が集まって制作技術を交流し、アイデアとインスピレーションをぶつけ合う。

 景徳鎮は現在、72か国の180以上の都市と友好関係を結んでいる。景徳鎮国際芸術家スタジオでは50か国以上の芸術家が創作を続けている。彼らは陶磁器の都から栄養をくみ取り、自らの手で陶磁器芸術の革新的な発展と陶磁器文化の広範な伝播を推進している。

 経済の切り口から見ても、景徳鎮の陶磁器産業は2022年に660億元(約1兆3500億円)の売上高を達成するなど好調だ。地元政府は「陶磁器の夢」を抱いて滞在する人に一連の支援政策を打ち出し、陶磁器の伝承と発展を奨励し、陶磁器職人と愛好家の規模拡大を推進している。

 北京建築大学(BUCEA)建築と都市計画学院の賀鼎(He Ding)准教授は、「景徳鎮には陶磁器の生産プロセスと産業インフラが完備されており、豊かな文化遺産と独特な都市空間があります。さらに重要なことは、さまざまな形式の文化交流と文明の相互参照が、人々に夢を実現するチャンスをより多くもたらすことです」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News