【3月14日 東方新報】アジア版アカデミー賞(Academy Awards)といわれる「17回アジア・フィルム・アワード(17th Asian Film Awards)」が10日、香港で開催され、アジア諸国の名作映画や関係者が多くの賞を獲得した。

 日本映画『悪は存在しない』が最優秀作品賞と最優秀オリジナル音楽賞を受賞、また日本の是枝裕和(Hirokazu Kore-eda)監督が映画『怪物』で最優秀監督賞を受賞した。

 俳優陣では、中国映画『草木人間(英題:Dwelling by the West Lake)』で母親役を演じた蒋勤勤(Jiang Qinqin)が最優秀主演女優賞に、日本からは『Perfect Days(原題)』でトイレ清掃員の役を演じた役所広司(Koji Yakusho)が最優秀主演男優賞に選ばれた。

 また韓国の女優イ・ヨンエ(Lee Yeong-ae)と日本の俳優鈴木亮平(Ryohei Suzuki)が優秀アジア映画賞を受賞した。

 そのほか、中国のベテラン映画監督張芸謀(チャン・イーモウ、Zhang Yimou)も生涯功労賞を受賞している。

 今年の「アジア・フィルム・アワード」は、釜山、香港、東京の三つの国際映画祭が共同で開催するもので、24の国と地域から合計35作品が16部門で競い合った。

 そしてまた、香港貿易発展局が主催する映像産業展覧会「香港国際映画テレビ展(The Hong Kong International Film &TV MarketFilmart)」も、25以上の国と地域から約750の出展者を集め、11日から14日まで開催されている。

 これには30以上の地域からのパビリオンも設営されている。

 インドネシアの映画製作会社「スタービジョン・プラス(StarVision Plus)」のプロデューサー、レザ・セルヴィア(Reza Servia)氏によると、インドネシア政府が出展ブースを後援するのは今回が初めてだという。

 彼は「この機会に、より多くのインドネシアの映像コンテンツに興味を持つ配給会社と出会いたい。配給会社だけでなく、共同制作や知的財産の交換の機会もあるかもしれない。パンデミックでこれまで連絡が途絶えていた人びとと幅広い関係を築きたい」と希望している。

 タイ文化省はタイ・パビリオンを設置し、「Filmart」の初日に「タイ・デー」を開催した。タイ商務省国際貿易促進局と香港貿易発展局は、二国間の貿易関係を強化するための覚書に調印した。

 香港政府の陳国基(チャン・クォッキ、Chan Kwok-ki)行政長官は「国際文化の東西交流センターとしての香港の地位を確固たるものにする決意だ。エンターテイメント産業は、この目標を達成するための最も身近なパートナーの一つだと信じている」と強調する。

 陳長官は「香港文化体育旅游局が管轄する『創意香港(Create Hong Kong)』を文化・クリエイティブ産業の開発機関として整備再編し、業界への支援を強化する。映画発展基金には総額1億3000万香港ドル(約30億1600万円)を投入する予定だ」と述べた。

 香港貿易発展局の林建岳(ピーター・ラム、Peter Lam Kin-ngok)委員長は展示会開催のあいさつで、「アジアは世界でも最大かつ最もダイナミックなエンタテインメント産業の一つで、香港はそのアジアの中心に位置しており、まさに理想的な開催場所です」とスピーチした。

 今年の「Filmart」では、初参加となる「アリババ・カルチャー&エンターテインメント(Alibaba Culture& Entertainment Group)」や「ビリビリ動画(Bilibili)」など、中国本土からの出展者が大きな存在感を示している。

「Filmart」と同時に開催されている「EntertainmentPulse」では、世界の業界のリーダーが一堂に会し、「香港・欧州・アジアの共同制作」や「中国・東南アジアコンテンツのグローバル化」など、幅広いテーマについてディスカッションがくり広げられている。(c)東方新報/AFPBB News