【3月13日 AFP】英王室が公開したキャサリン皇太子妃(Catherine, Princess of Wales、42)の家族写真が加工されていたことが分かり、インターネット上では「ケイトスピラシー」と呼ばれるうわさや陰謀論が広がる事態となった。

「ケイトスピラシー」とは、キャサリン妃の名前と「陰謀(conspiracy)」をかけた造語。既に飛び交っていたさまざまな臆測を払拭(ふっしょく)するために公開された写真だが、かえって拍車をかける形となった。

 1月に腹部の手術を受けて以降、キャサリン妃は、公の場に姿を現していない。最後に姿を見せたのは昨年のクリスマス礼拝だ。

 新たな情報が一切発表されない中、ネットでは、キャサリン妃がウィリアム皇太子(Prince William)と破局した、摂食障害で療養している、ヒップアップの美容整形手術を受けているなどの臆測が飛び交った。中には、既に死去したのではないかという説もあった。

 英王室は10日、ウィリアム皇太子が最近撮影したとするキャサリン妃と3人の子どもの写真を公開した。しかし、観察眼の鋭いソーシャルメディアユーザーは、キャサリン妃のジッパーの一部がずれているなど、不自然な点を指摘。AFPをはじめとする通信社各社は配信を取り消した。

 キャサリン妃は翌11日、写真への加工を認めて謝罪した。しかし、これを受けて臆測はさらに広がり、ネット上では「英王室が隠している真実」をテーマにミーム(拡散される画像)が急増した。

 こうした事態について、情報を隠そうとすることでかえってその情報を拡散させてしまう現象「ストライサンド効果」の王室版と指摘する声も上がった。

 近年の生成AI(人工知能)の急速な進歩に伴い、フェイク画像や、ミスリードを招くような視覚的情報への懸念が世界的に高まっている。そのような社会的背景がある中で、今回のキャサリン妃の加工画像公開があった。

 チャールズ国王(King Charles III)に関する著作を持つキャサリン・メイヤー(Catherine Mayer)氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「王室が国民に対して重要な価値観の模範を示したいのであれば、まずはメディアへの向き合い方を見直し、透明性と真摯(しんし)さを選ぶべきだ」とし、「偽情報に立ち向かうべきであり、加担する側に回るべきではない」との考えを示した。(c)AFP/Anuj CHOPRA