【3月5日 AFP】カマラ・ハリス(Kamala Harris)米副大統領は4日、イスラエル戦時内閣メンバーでベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の最大のライバルとされるベニー・ガンツ(Benny Gantz)前国防相とホワイトハウス(White House)で会談し、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の人道状況に「深い懸念」を表明した。

 ガンツ氏は元軍参謀総長で、政治的には中道。両者の会談は、ネタニヤフ首相率いる右派政権によるガザ侵攻の進め方に対する米政権内の不満の高まりや、イスラエル政府内の分断を浮き彫りにする形となった。

 昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲後、野党を離党して戦時内閣に合流したガンツ氏は、人質解放や紛争からの出口戦略をめぐりネタニヤフ首相と対立してきた。

 ガンツ氏はホワイトハウス入りに先立ち、「友人とは常に率直に話すべきであり、そうするつもりだ」と語った。米滞在中にジェイク・サリバン(Jake Sullivan)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官とも会談する予定。

 一方ホワイトハウスは、ガンツ氏との一連の会談によってネタニヤフ首相との緊張関係が悪化する恐れがあるとの見方を否定。会談の要請はガンツ氏側からあったと述べた。

 専門家やイスラエルメディアは、ガンツ氏がここ数週間、ネタニヤフ首相に対して紛争の出口戦略の策定を迫っていると伝えている。軍事的圧力によってのみ人質返還は実現するとするネタニヤフ氏の姿勢を、ガンツ氏は否定している。

 ガンツ氏の訪米について、イスラエルのドゥディ・アンセレム(Doudi Amsellem)地域協力相はX(旧ツイッター)への投稿で「ガンツ氏、あなたの政権入りは非常時に結束を高めるためであって、トロイの木馬になるためではない」と批判した。(c)AFP