【2月16日 AFP】ロシアによる侵攻開始後、直ちに軍に志願したウクライナ人のイワン・ザドンツェウさん(27)は、紛争が3年目に突入しようとする今、疲弊しきっていた。 

「ただ怒りしか感じない。いつまで続くのか」。ザドンツェウさんは第24独立突撃大隊の報道将校としてAFPの取材に応じた。「われわれは全員、疲れ果てている。皆、休息を望んでいる。とにかく交替させてほしい!」

 兵士の疲労と休息の必要性を訴える声は、さらなる兵員補充を求めるウクライナ軍上層部にジレンマをもたらしている。志願兵数が伸び悩む一方で、追加動員法案は政治的窮地にあり、政府にも身動きする余地がない。

 空挺攻撃部隊の中隊を率いるセルヒー・オゴロドニクさん(39)は「兵士たちには休みが必要だ。回復して戦闘を継続するためだけはなく、市民として生活を再建するための時間も要る」と語った。兵士たちの間では、応召していない人々に対する「不公平感」が渦巻いているという。

 紛争終結が見通せない中、ウクライナ軍は十分な人員の確保に苦慮している。徴兵を容易にし、前線の兵士に休息を与えることを目的とした追加動員法案は、現在激しい議論の的となっている。

 戦線の停滞によって、志願を考えている人々の勢いも冷め気味だ。

 ウクライナ軍が2022年当初掲げていた同年内の勝利は実現せず、昨年の待望の反転攻勢でもロシア軍を打破できなかった。

 首都キーウの理容師ダニールさん(27)は1年前なら入隊を考えたかもしれないが、今は違うと言う。「当時はある種の熱狂があり、誰もがうまくいくと思っていた。すべて解決し、勝利を取り戻せると… だが、今はみんなもっと現実的だ」

 キーウ国際社会学研究所(KIIS)のアントン・グルシェツキー(Anton Grushetsky)氏は、米議会内の対立が西側の支援の足かせとなり、先行きが不透明なことも影響しているとみている。

「強力な支持を受けていると感じていた時には、ウクライナ人は戦場で死ぬ覚悟ができていた。だが、戦うための武器がないと知れば、戦意は喪失する」

 さらにウクライナ政府の一連の汚職の暴露は、志願を迷っているダニールさんのような人々をいっそう落胆させた。