【2月11日 AFP】パレスチナ自治区ガザ市(Gaza City)で、親族と一緒に乗っていた車両が攻撃された後、行方が分からなくなっていた6歳の少女ヒンド・ラジャブ(Hind Rajab)ちゃんの遺体が10日、発見された。パレスチナ赤新月社(Palestinian Red Crescent)とパレスチナ自治政府の保健省が発表した。

 車内に閉じ込められたヒンドちゃんは赤新月社に電話し、「怖い」「助けを呼んで、お願い」と救助を求めた。

 2週間以上にわたる懸命な捜索活動の結果、ヒンドちゃんの遺体は親族の遺体と共に発見された。要請を受けて駆け付けた赤新月社の救助隊員の遺体も一緒に見つかった。

 イスラム組織ハマス(Hamas)は人権団体や国際社会に対し、「恐ろしい犯罪行為」を記録しておくよう求めた。

 ヒンドちゃんの母親はAFPに対し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領、さらには「ガザとガザ住民に対する陰謀を企てた『不信心者たち』」には責任があると非難。「助けを求める娘の叫びを聞きながら救わなかった者たちについては、最後の審判の日に神の前で問いただすつもりだ」と述べた。

 ガザでは子どもを含む一般市民に大きな被害が出ていると国際機関が警告する中で起きたこともあり、ヒンドちゃんの行方に各国メディアも注目していた。

 赤新月社は、救急車の派遣に向けイスラエル軍との間に「事前の調整」があったにもかかわらず、現場に到着した時点で攻撃されたとしている。

 同社の3日の発表によるとヒンドちゃんは最初の攻撃で命を落とすことはなく、家族と電話で話し、助けを求めていた。

 赤新月社は「イスラエル軍の戦車に囲まれながら、ヒンドちゃんは3時間以上助けを求めた。発砲と孤独の恐怖におびえ、目の前でイスラエル軍に殺害された親族の遺体に囲まれ、車内に閉じ込められていた」と説明している。(c)AFP/Adel Zaanoun