【2月10日 AFP】世界水泳選手権(World Aquatics Championships)の競泳男子100メートル自由形で2011、13年に連覇を達成したジェームズ・マグヌッセン(James Magnussen、オーストラリア)氏が、運動能力向上薬の使用を容認する大会「エンハンスト・ゲームズ(Enhanced Games)」に出場する意向を示した。

 英ロンドンに拠点を置く豪実業家のアロン・デスーザ(Aron D'Souza)氏が設立した同大会では、選手は世界反ドーピング機関(WADA)のルールの対象とならない。

 大会のコンセプトに対しては危険だとして批判の声が上がっているが、世界記録を破った選手には100万ドル(約1億5000万円)の賞金が贈られることになっており、2018年に引退したマグヌッセン氏は同大会に参加する初のビッグネームとして、50メートル自由形で記録破りを目指す。

 豪紙オーストラリアンのコラムでマグヌッセン氏は「もし現役中にやってほしいと頼まれていたら、引退してから6年がたった今の自分とは全く異なる答えを出していただろう」「率直に言えば、お金の部分が大きい。160万豪ドルの賞金は無視できない。引退した選手にとってこのような機会はそうそうない」と述べた。

 その一方で、「サプリメントが長期的に体に悪影響を及ぼさないように、計画的かつ科学的にやりたい」「これは万人のためのものではないし、まして若いアスリートのためではない」と健康面で危険を冒したくないとしつつ、「だがもし科学的にパフォーマンスを向上することができ、しかもそれを安全にできることが証明できたら、人々にとっては見ていて面白いイベントになるかもしれない」と語った。

 公式ウェブサイトによれば、同大会では陸上、水泳、体操、筋力、格闘技の五つのカテゴリーが実施されるが、第1回大会の場所と日時は未定となっている。

 エンハンスト・ゲームズをめぐっては昨年に大会の構想が持ち上がって以来、スポーツ界から全体的に否定的な反応が上がっており、オーストラリア・オリンピック委員会(Australian Olympic Committee)は「危険で無責任」なアイデアだと非難。五輪で銀メダルを獲得した元競泳女子のシャロン・デイビーズ(Sharron Davies)氏はSNSで「誰が一番不正をして賞金を取るかを見たい人なんているの?」と疑問視していた。(c)AFP