【2月9日 AFP】アルゼンチンのハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領は8日、昨年10月7日にイスラム組織ハマス(Hamas)の越境攻撃を受けたイスラエル南部のキブツ(生活共同体)を訪問し、ハマスの攻撃をホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)になぞらえた。

 ミレイ氏は、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ(Isaac Herzog)大統領やハマスに拘束されていた元人質のオフェリア・ロイトマンさんと共に、襲撃を受けたキブツ、ニルオズ(Nir Oz)を訪問した。パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)との境界近くにあるニルオズの住民は、ハマスに殺害されたり、拉致されたりした。

 ロイトマンさんはアルゼンチン国籍の高齢女性で、1985年にイスラエルに移住した。住んでいたニルオズに戻ってきたのはハマスに解放されて以来初めてとなった。

 イスラエルは、昨年11月に就任したミレイ氏にとって大統領として初の公式訪問先。同氏は明らかに感情的になっており、キブツ訪問については「大きく心を動かされた」と語った。

 ミレイ氏は、ハマスを人道に対する罪を犯した「テロ組織」と呼び、イスラエルのハマスに対する反撃への支持を改めて表明した。

 イスラエル大統領府のスペイン語からの翻訳によれば、ミレイ氏は「テロと反ユダヤ主義、21世紀のナチズムの明白な事例を目にすれば、自由世界はこの件に無関心ではいられない」「今回使われた手法は、ホロコーストの残虐行為を想起させる」と訴えた。

 心に傷を負った多くのイスラエル人も、ハマスの襲撃をホロコーストの恐怖になぞらえている。

 だが、エルサレム(Jerusalem)にあるホロコースト記念館「ヤド・バシェム(Yad Vashem)」のダニー・ダヤン(Dani Dayan)館長は昨年のAFPのインタビューで、「集団殺害の意図、残虐さ、野蛮さの点で類似性があるとはいえ、ホロコーストとの比較は短絡的過ぎる」「10月7日に行われた犯罪は、ナチスの犯罪と同レベルではあるが、ホロコーストではない」と指摘している。(c)AFP