【2月9日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領(81)は8日夜の国民に向けたテレビ演説で、特別検察官に報告書で記憶力に疑問を呈されたことに対し、「私の記憶力は確かだ」と怒りをあらわに反論した。

 バイデン氏は2015年に亡くなった息子のボー(Beau Biden)氏の命日さえ思い出せなかったとする報告書に対し、「息子の命日も覚えていないという言及さえある。いったいどうしてそんなことが言えるんだ」「私の記憶力は確かだ」と述べた。

 ロバート・ハー(Robert Hur)特別検察官による報告書は、バイデン氏が副大統領時代の機密文書を私邸や事務所に持ち出していた問題で、訴追を見送るという内容だった。

 11月の大統領選で再対決する見通しのドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は機密文書の持ち出しで起訴されており、バイデン氏にとって有利な材料となるはずだった。

 しかし、ハー特別検察官は報告書で、バイデン氏を「記憶力が落ちた悪意のない高齢者」と表現し、知的鋭敏さが衰えている点を考慮すると陪審で有罪とされることはないだろうと述べた。

 バイデン氏は演説後、報告書について記者団に問われると、「確かに私は善意の人間で高齢者だが、自分が何をしているのかくらいは分かっている」と回答。「私は大統領であり、この国を立ち直らせた。私が就任以来やってきたことを見てほしい」と述べた。
 さらに「この国の大統領に(再び)なり、この仕事をやり遂げるのに米国で最もふさわしいのは私だ」とも語った。

 だが、ハー氏の痛烈なコメントの影響を拭い去るのは難しいだろう。

 バイデン氏は記憶力の確かさをアピールしたこの日の会見で、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での紛争に関する質問に答える際、エジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領を「メキシコの大統領」と呼んだ。(c)AFP/Danny KEMP and Aurelia END