■「戦車が近づいてくる」

 ハマダさんは「救急車が現場に向かっている最中、ヒンドは母親と話していた。ヒンドが救急車が見えると言い、母親は車両のドアが開く音を聞いた。通話はそこで切れてしまった」とAFPに語った。

 それ以降、ヒンドちゃんからも救助に向かった救急隊からも連絡はない。

 パレスチナ赤新月社は5日、「6歳の少女ヒンド・ラジャブちゃんを助けに向かった救急隊の行方が分からなくなっている。消息を絶ってから7日が経過した」とSNSに投稿した。

 また、「ヒンドちゃんと救急隊の現状について直ちに説明するよう、占領当局(イスラエル)に圧力をかける」ことを国際社会に求めた。

 AFPはイスラエル軍にコメントを求めたが、返答はない。

 南部ラファ(Rafah)に避難しているハマダさんは「ヒンドに何が起きたのかを知りたい。それが何であろうとも。遺体に囲まれたまま、飲まず食わず、極寒の中で過ごしているとは思えない。動物が人の遺体を食べているのだ」と語る。

 パレスチナ自治政府の保健省は、昨年10月に始まった武力衝突でガザ地区では主に市民が犠牲になっており、これまでに少なくとも2万7585人が死亡したとしている。

 3歳の孫とその両親がまだガザ市にいるというハマダさん。「ヒンドは自分にとって初めての孫だ。あの子は自分の心の一部だ」と言い、カラフルな洋服でカメラに向かって笑顔でポーズをとるヒンドちゃんの写真をAFPに見せた。

 涙を抑えきれない様子で、最後に声を聴いた時のことを振り返り、「あの子は、怖い、おなかが空いている、助けに来てと言っていた。戦車が近づいてくると言っていた」と訴えた。(c)AFP/Mai Yaghi