【2月7日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で、乗っていた車両が攻撃され、同乗していた親族を殺害された6歳の女児ヒンド・ラジャブ(Hind Rajab)ちゃん。親族の遺体と共に車内に閉じ込められた状態のまま、その後の行方が分からなくなっている。

「あの子は怖がっていたし、パニックにもなっていた。背中と手足を負傷していた」と、電話でヒンドちゃんの声を最後に聞いた一人、祖父のバハ・ハマダさん(58)は話す。

「迎えに来てと何度も言われた」と、泣きながら当時の通話を振り返った。

 ガザでのイスラエル軍とイスラム組織ハマス(Hamas)との武力衝突が始まってから、約4か月が経過した。

 北部ガザ市(Gaza City)はここ数週間、同自治区南部からは隔離された状態だ。国連(UN)は、北部に残っている多数の市民に支援物資を届けることが非常に厳しい状況になっていると抗議を繰り返している。

 攻撃された車両は1月下旬、ヒンドちゃんと4~15歳の子どもたち5人と大人2人を乗せ、市内テルアルハワ(Tel al-Hawa)地域に迫るイスラエル軍から逃れようと移動中だった。大人の一人は、ハマダさんのきょうだいバシャールさんだった。

 しかし、車両はイスラエル軍の戦車と鉢合わせとなり攻撃を受けた。

 その後、同乗していたバシャールさんの娘ラヤンちゃん(15)と電話がつながり、ハマダさんは、ラヤンちゃんの両親と兄弟3人が殺害されたことを知った。電話では、ヒンドちゃんとラヤンちゃんの2人だけが生き残ったと話していたという。

 ハマダさんは「ラヤンを落ち着かせようと思い、救急車を呼ぶ」と電話で伝えたのだと振り返る。

 パレスチナ赤新月社(Palestinian Red Crescent)の救急隊員がラヤンちゃんと電話で話していると、受話器の向こうから銃声が聞こえた。電話はそのまま切れてしまった。

 ハマダさんと赤新月社は、この時にラヤンちゃんが殺害されたとみている。