【1月31日 東方新報】中国公安部は1月5日、2023年に39万1000件の電話・ネット詐欺事件を摘発したと発表した。同年8月以降は事件が減少傾向にあり、取り締まりの成果が表れているという。

 公安部は「万里の長城(Great Wall of China)作戦」など、電話・ネット詐欺を集中的に取り締まる活動を展開。海外に拠点を置き、電話やネットを通じて振り込め詐欺やウソの投資・融資話、マネーロンダリング(資金洗浄)、密輸などの違法行為を行う犯罪集団を摘発し、7万9000人を逮捕・拘束した。その中には資金を提供している「金主」や詐欺グループのリーダーら263人も含まれている。

 公安省は、国際的な捜査協力を得るためタイやフィリピン、カンボジア、ラオス、ベトナム、インドネシアなどにスタッフを派遣。各国で詐欺集団のアジトを壊滅し、3000人を摘発した。

 海外を拠点にした電話・ネット詐欺で最も深刻なのは、ミャンマー北部のコーカン自治区だ。中国・雲南省(Yunnan)と接するこの地域は歴史的に華人の血を受け継ぐ住民が多く暮らしており、現地では中国語が通じ、中国のスマートフォンも使用できるという。犯罪集団はここに「詐欺団地」と言われるほどの巨大な拠点を置き、詐欺を続けている。

 詐欺集団は複数の家族グループに分かれており、中国の公安機関は各グループの首謀者に懸賞金をかけた。その結果、首謀者の一人・明学昌(Ming Xuechang)容疑者は拘束された後に自殺し、詐欺グループに大きな打撃を与えた。

 ミャンマーで詐欺に従事する中国人は10万人以上といわれる。ウソの就職話を持ちかけられ、中国から現地に着いて監禁され、詐欺行為をさせられている人も少なくないという。2023年には中国とミャンマー両国の協力により、詐欺に関わった4万1000人が中国へ移送されたという。

 中国国家詐欺対策センターは、これまでに電話・ネット詐欺の疑いがあるとして940万6000件の警告を出し、公安機関は1389万人が詐欺に遭うのを未然に防いでいる。27億5000万件の詐欺電話と22億8000万件のメールを遮断し、3288億元(約6兆7869億円)の被害を防いだ。(c)東方新報/AFPBB News