【8月18日 東方新報】中国で高温の砂漠地帯を「ドライブ」した4人が遭難・死亡する事故が発生した。

 警察によると、1990年代生まれの四川省(Sichuan)の若者十数人が、中国西部の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のタクラマカン砂漠(Taklamakan Desert)を車で突っ切ることを計画。数台の車に分かれ、7月22日に甘粛省(Gansu)敦煌市(Dunhuang)を出発し、隣接する新疆ウイグル自治区チャルクリク県(Ruoqiang)のロプノル野生ラクダ国家自然保護区に進入した。このうち4人が乗った自動運転の車両1台が26日に消息を絶った。

 連絡を受けた警察らが捜索を行い、27日に車と3人の遺体を発見。残りの1人も29日、自然保護区の出口まで20~30キロの場所で遺体となって見つかった。十数人のメンバーは、お互いにほとんど面識がなかったという。

 捜索に参加した中国探検協会の会員によると、車は砂にはまって動けない状態になっていた。エアコンは動き、燃料も十分あったが、飲み水はなくなっていたという。3人は車から7~8キロ離れた場所で亡くなっていた。地元テレビの映像によると、地平線まで砂漠が広がっている地域で車は遭難していた。会員は「車の中にとどまっていた方が、まだ助かる可能性があった」と話している。

 ロプノルはタクラマカン砂漠北東部に位置し、かつて存在した塩湖「さまよえる湖」の場所として知られている。ロプノル野生ラクダ国家自然保護区は夏になると地表の最高温度が昼は70度、夜でも40度に達する。保護区内の遺跡を調べている公立調査隊も7~8月は活動を停止している。調査隊リーダーの胡興軍(Hu Xingjun)さんは「真夏は猛暑のため車のエンジンが故障し、チェーンも機能しなくなる恐れがある」と話す。

 アフリカのサハラ(Sahara)砂漠を縦断するパリダカールラリーに何度も出場したドライバー、梁鈺祥(Liang Yuxiang)さんは「砂漠ではタイヤの空気圧を落とさないと走れない。普通の人はそうしたことも知らないだろう」と話す。

 この自然保護区管理局は「あらゆる個人・団体が観光や探検をすることを禁ずる。悪質な行為は刑事責任を問われる」と繰り返し表明しているが、悲劇は起きてしまった。

 新疆ウイグル自治区では同じ7月、標高5445メートルのボゴタ峰に向かった35歳の旅行ブロガーが遭難し、死亡している。

 中国では最近、「冒険」的行動をする人の遭難事故が続いている。2021年8月には22歳の女性が青海省(Qinghai)の無人の山脈地帯に入り、遭難して死亡した。2022年2月にはチベット自治区(Tibet Autonomous Region)の仏教の聖地・カイラス山に登った5人のうち2人が亡くなった。同月には20代の詩人が危険な山岳地帯を踏破しようとして死亡している。

 ボゴタ峰で死亡した旅行ブロガーは世界30か国を自転車で旅しており、遭難者がすべて「素人」というわけではない。それでも相次ぐ遭難事故に、インターネット上では「命を危険にさらしてまで冒険的な活動をすべきではない」という声が出ている。(c)東方新報/AFPBB News