【1月29日 AFP】仏パリのルーブル美術館(Louvre Museum)で28日、レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の名画「モナリザ(Mona Lisa)」を保護する防弾ガラスに活動家2人がカボチャのスープを浴びせる騒動があった。現場にいたAFP記者が目撃し、美術館側もその事実を発表した。2人は「健康で持続可能な食料」を手にする権利を主張した。

 活動家の女2人は、オレンジ色のスープを「モナリザ」を保護するガラスにかけ、「どちらが大切なのか。芸術か、健康的で持続可能な食料を得る権利か」「この国の農業システムは病んでいる。農業従事者は働きながら死に向かいつつある」と訴えた。

 パリの検察当局によれば、2人は身柄を拘束された。

 館内で軽食を取ることはできるが、展示室では禁止されている。美術館によると、2人はコーヒーのマグボトルの中にスープを入れていた。

 美術館側の説明では、作品に損傷はなかった。展示室は一時閉鎖されたが、約1時間後には一般公開が再開された。

 今回の抗議行動について、食料をめぐる抵抗運動を行う団体「Riposte Alimentaire(食の反撃)」が、スープを浴びせたのは自分たちのメンバーだと主張。「持続可能な食料を社会的に保障することを明確に要求する市民の抵抗運動の始まり」だとしている。

 フランス国内では、政府が農機具用の軽油の免税措置を2030年までに段階的に廃止すると決定したのを受け、農家が抗議デモを続けており、農業団体は、農業で生計を立てられなくなっていると訴えている。

 環境活動家が気候変動に警鐘を鳴らし、対策強化を求めるために有名絵画を標的にする事例が相次いでいる。

「モナリザ」はこれまでもたびたび受難に遭い、2022年5月には、男にカスタードパイを投げ付けられた。

 1956年に石を投げ付けられて一部が損傷したのを受け、ガラスで保護されるようになった。2005年以降は防弾ガラスで覆われるようになった。(c)AFP/Francois Becker and Alice Hackman