【1月25日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での衝突をめぐり、カタールが仲介役を担っていることについて「問題」だと発言したとされる音声が浮上した。これを受けてカタール外務省は25日、「あぜん」としていると不快感を示した。

 イスラエル民放のチャンネル12によると、この発言は、ネタニヤフ氏がガザ地区で拉致された人質の家族と今週面会した際に録音された。この中で同氏は、カタールが同地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)を資金援助していると非難するとともに、米国がカタール駐留を続けると決めたことについても不満を漏らしたとされる。

 カタールはエジプト、米国と共に仲介に当たり、昨年11月に1週間の戦闘休止と150人の人質の解放を実現させた。

 チャンネル12が入手した録音では、ネタニヤフ氏とされる人物が「私がカタールに感謝しているのを聞かないだろう…基本的に国連(UN)や赤十字(Red Cross)と大差ないどころか、輪を掛けて問題だ。私は(カタールに関して)幻想は抱いていない」と話している。

 声の主は、「(カタールはハマスに)圧力をかける手段がある。これはなぜか。(カタールがハマスに)資金を提供しているからだ」と断じている。さらに、米政府がカタールと米軍の駐留合意を更新したことについて「強い怒り」を感じるとも述べている。

 これを受けて、カタール外務省のマジェド・アンサリ(Majed Al Ansari)報道官はX(旧ツイッター)に、カタールは「イスラエルの首相のものとされる発言にあぜんとしている」と投稿。

「もしこれらの発言が事実と確認されれば、無責任であり、罪のない人の命を救うための努力を台無しにするものだが、驚きはしない」と述べた。

 カタールは、人質解放に向けた協議に現在も関与している。アンサリ氏は、こういった発言は協議を進める上で有害だと指摘した。

 カタールには米軍が駐留している。また、ハマス政治部門の事務所もある。近年カタールは、ガザ地区に多額の資金援助を行っている。(c)AFP