【1月25日 AFP】ロシア大統領選で立候補を目指し署名集めを行っている、ウクライナ侵攻に反対するボリス・ナジェージュジン(Boris Nadezhdin)元下院議員(60)への支持が拡大している。首都モスクワでは22日、極寒の中、署名をするため数百人が列をつくった。

 現職のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)氏は先月、大統領選への立候補を表明、5期目に挑戦する意向を示した。2年ほど近く続くウクライナ侵攻に対する批判は禁じられており、いまのところ実質的な対立候補はいない。

 ナジェージュジン氏は、改革派政党「市民イニシアチブ」で大統領候補に選ばれている。2015年に暗殺されたリベラル派の反プーチン政権指導者ボリス・ネムツォフ(Boris Nemtsov)氏と近かったが、同氏の死後は大統領府寄りの政界に移っていた。

 ロシアの選挙法では、ナジェージュジン氏が正式に出馬するには1月末までに10万人分の署名を集めなくてはならない。20日以降、署名が急増。全国各地と外国在住ロシア人が署名を寄せている。同氏のウェブサイトによると、22日夜の時点で8万5000筆近く集まっている。

 ナジェージュジン氏はネットで公開したマニフェストで、「平和」について慎重に語り、ウクライナ侵攻を「致命的な過ち」だと表現している。

「(ウクライナでの)特別軍事作戦で掲げられた目標は一つとして達成されていない」「プーチンは過去から世界を見ており、ロシアを過去に引きずり戻そうとしている」と非難した。

 ナジェージュジン氏以外の候補者は全員、ウクライナ侵攻を支持している。署名のため選挙対策事務所前に列をつくった人の多くは、同氏がロシアに別の視点を提供してくれるただ一人の候補だと考えている。

 バイオテクノロジーを学ぶイワンさん(19)は、ソーシャルメディアに投稿された行列を捉えた「感動的な画像」を目にし、署名に加わることにしたという。

「多くの人にとってこれは、逮捕されることを心配せずに、今起きていることに対して不満を示せるチャンスだ」と語った。

 中南部オムスク(Omsk)在住でモスクワに旅行に来ていた看護師のナタリアさん(53)は、ナジェージュジン氏が「特別軍事作戦に反対するただ一人の人物」であり、「違う意見もあった方がいい」と考えているので支持すると話した。

 映像は22、24日撮影。(c)AFP