■イケアも歩み寄り

 イケアでの集まりは10年以上前から続いているが、どのようなきっかけで始まったかは誰も知らないようだ。

 主催者は存在せず、友人から聞いて参加したという人がほとんどだった。

 参加者の一人でチンチンさんの友人だというシューさんは、「もっと高級な場所で集まるのは、現実的に難しい」と話す。シューさんが言うには、ここに集まる人にとってはイケアが「手ごろ」なのだ。

 イケア側は当初、こうした集まりを歓迎していなかった。

 2011年以降、グループを追い出そうとするイケア側の対応が国内外で報じられてきた。そうした報道によると、店側は警備員の増員やテーブル周辺へのロープ設置、グループの散会を求めるメッセージボードの張り出しなど、さまざまな対策を講じてきた。

 警備員の一人は、高齢男性に声の大きさを注意したところ、熱いコーヒーをかけられたことがあるとも話した。

 しかし、その後はイケアも理解を示すようになってきているようだ。

 最近では、テディベア柄のスーツ姿の男性参加者が、喫煙をしながら会場のあちこちでウイスキーを振る舞っていたが、店員が注意することはなかった。

 この件についてイケアに問い合わせたところ、「孤立化している近隣の高齢者がケアや人との交流を必要としていることは認識している。そうした人々に、友人と集うことのできる居心地よい場所を提供したいと考えている」との回答が寄せられた。

 一方、過去の対応についてのコメントは得られなかった。