【1月23日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は22日、ヒンズー教徒とイスラム教徒が長年対立を続けるウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州の聖地アヨディヤ(Ayodhya)でヒンズー教寺院の開設式典に出席し、「新時代」の到来を宣言した。

 モディ氏は、ヒンズー教の重要なラーマ(Ram)神を祭る寺院の前で演説し、「2024年1月22日は単なる暦上の日付ではなく、新時代の到来を告げる日だ」と訴えた。

 この場所にはかつて16世紀に建造されたモスク(イスラム礼拝所)があったが、モディ氏の所属政党でヒンズー国家主義を掲げるインド人民党(BJP)の支持者らが1992年に取り壊した。これをきっかけにインド独立以来最悪の宗教暴動に発展し、イスラム教徒を中心に約2000人が死亡。政教分離主義を掲げる国家運営の根幹を揺るがす事態となった。

 ヒンズー教寺院の開設により、モディ氏はヒンズー教を擁護する自身の立場を改めてアピールすることになる。

 4月に実施が見込まれている総選挙ではBJPの「3連覇」が有力視されており、野党は、式典という名目の選挙集会だとして出席をボイコットした。

 インド国内の2億人のイスラム教徒の多くは、祝賀ムードに不安な目を向けている。(c)AFP/Bhuvan BAGGA