【1月17日 AFP】フランスの作家で、ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)を受賞しているアニー・エルノー(Annie Ernaux)氏が、イスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の紛争をめぐるドイツ国内の反応に懸念を示す団体が呼び掛けているドイツの文化的ボイコットに賛同したと、独出版社が16日、明らかにした。

 ドイツでは、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での衝突開始以降、文化イベントの参加者や受賞者の発言が過度に反イスラエル的と見なされ、行事が相次いで中止された。

 こうした傾向を受け、表現の自由が制限されつつあるという懸念が噴出。一方で主催者側は、行事中止の決定について、反ユダヤ主義に抵抗するために必要な措置だと反論している。

 ボイコットを展開している団体「ストライク・ジャーマニー(Strike Germany)」によると、これまでに数千人が運動に賛同。

 同団体は、ドイツで「表現の自由、特にパレスチナに連帯を示す表現」が抑圧されている兆候が認められるとして、独国内で開催される「フェスティバルや会議、展示」への参加を取りやめるよう呼び掛けている。

 エルノー氏の作品をドイツで出版するズールカンプ(Suhrkamp)の広報はAFPに対し、同氏が「ストライク・ジャーマニー」の請願書に署名したとする独紙の報道内容が事実だと認めた。

 ただしエルノー氏は同出版社に対し、「自身の作品の出版や公演」はボイコットの影響を受けないと説明しているという。(c)AFP