■次世代の王族は「時代のニーズと課題を理解」

 一方、英ウェールズにある全寮制のUWCアトランティック・カレッジ(UWC Atlantic College)に学んだレオノール皇太子やベルギーのエリザベート王女のように、未来の女王たちは国内外のエリート校で学び、国際情勢やフェミニズム、気候変動といった社会的課題に触れる機会を多く持ってきた。

 スウェーデンのインフルエンサーで王室ウオッチャーのエバ・クレベリ・フォン・シドー(Ebba Kleberg von Sydow)氏は「壮麗さ、王宮、ジュエリー、おとぎ話といった要素に加え、国民の日々の暮らしを知り、地にしっかり足をつけていること、それが王政を維持するための成功のコンセプト」だと語った。

 フォン・シドー氏は、王室が現代社会に根差した重要な存在であることを示すために、未来の王族は情報通であることも証明する必要があるとも述べている。

 マルグレーテ2世が「スマートフォンすら持たず、それを誇りにしている」のとは対照的に、スウェーデンのビクトリア皇太子(Crown Princess Victoria)やノルウェーのホーコン皇太子(Crown Prince Haakon)らは、メッセージアプリのワッツアップ(WhatsApp)に自分のグループを持っているとラングレン氏は指摘した。

「前の世代の王族が使っていた伝統的なメディアチャンネルがもはやすべての人に届かない今、より多くのプラットフォームを使い、まったく異なる方法でメッセージを発信する必要がある」とフォン・シドー氏も言う。

 フランス・トゥールーズ大学(University of Toulouse)の歴史学者リザ・カストロ(Lisa Castro)氏は、女性やLGBTなど性的少数者の権利、環境問題などに関心を持つことは、国民の支持を確実に得るためのツールになると述べた。

 例えば、北欧諸国の王室が気候変動問題に関心を寄せているように、次世代の王族は「時代のニーズと課題を理解している」という。

 スペイン人ジャーナリストのピラール・エア(Pilar Eyre)氏は、「時代が君主制に与える影響は避けられない」と述べ、英国のウィリアム皇太子(Prince William)とキャサリン皇太子妃(Catherine, Princess of Wales)による洗練されたイメージ管理に注目する。

 スペイン国王フェリペ6世(King Felipe VI)の妻で、出会った当時はジャーナリストだったレティシア王妃(Queen Letizia)は最近、売春婦の支援団体を訪問した。「これまでの世代にはなかったことだ」とエア氏は言う。

 2021年、当時オランダ首相だったマルク・ルッテ(Mark Rutte)氏は、カタリナアマリア王女が望むならば、同性婚法の下で女性と結婚し、その上で王位に就くこともできると述べた。

「市民の愛着や尊敬を得るのは、盛大な儀式や華麗な衣装ではなく、こういったジェスチャーだ」とエア氏は話している。(c)AFP/Toni CERDÀ with Pia OHLIN in Stockholm