【1月15日 AFP】国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエワ(Kristalina Georgieva)専務理事がこのほど、人工知能(AI)は先進国の雇用の60%に影響を与えるとの考えを示した。スイスのダボス(Davos)で開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会に先立ち、米首都ワシントンでAFPのインタビューに応じた。

 ゲオルギエワ氏は、「先進国および一部の新興国では、雇用の60%が(AIの)影響を受ける」とし、また新興国全体では40%、低所得国では26%と述べた。IMFは14日、同じ内容で報告書を発表した。

 報告書では、世界全体では雇用の40%近くがAIの影響を受けると分析されている。AIによる仕事への影響については、半分がマイナス方向に働くが、残り半分は生産性が高まる可能性があるとの見方が示された。

 ゲオルギエワ氏は、「あなたの仕事は完全になくなるかもしれない。それは良くないことだが、AIによって生産性が高まり、所得水準がアップすることも考えられる」と話した。

 IMFは、新興市場や途上国へのAIの影響は、最初は少ないと予測。一方で恩恵を受けるチャンスも限られるとし、「デジタルデバイド(IT格差)や国家間の所得格差が広がる恐れ」があるとした。また、高齢の労働者ほど不利益を被りやすいとも指摘している。

 ゲオルギエワ氏は「低所得国もAIによる好機を捉えられるよう、早急に支援を行う必要がある」とし、「AIは確かに少し怖いが、誰にとっても非常に大きなチャンスにもなる」と主張した。(c)AFP