【1月9日 AFP】台湾で9日、中国が人工衛星の打ち上げを発表した直後に、防空警報が発令された。台湾は数日後に総統選を控えており、安全保障をめぐる懸念が強まっている。

 中国政府は、衛星「アインシュタインプローブ(Einstein Probe)」を打ち上げたと発表。それとほぼ同時の午後3時15分(日本時間同4時15分)ごろ、台湾各地で携帯電話の警報音が鳴り響いた。

 携帯電話に表示された警報には中国語で「中国が人工衛星を打ち上げた。南部上空を通過した」とあり、市民に「安全に留意する」よう促した。

 警報の英語部分には、「防空警報」「ミサイルが台湾領空を通過」と表示されていたが、当局はこれは誤訳だったと釈明した。

 呉釗燮(Joseph Wu)外交部長(外相)は記者団に対し、発射されたのは人工衛星で、警報は打ち上げ用ロケットの「破片」が落下する可能性を踏まえて出されたと説明した。

 総統選の有力候補で、現副総統の頼清徳(Lai Ching-te)氏は警報発令の数時間前に、中国は「すべての台湾の選挙に介入」しており、とりわけ今回の介入が「最も深刻」だと主張。政治的、軍事的脅迫に加え、「今回の選挙で(中国は)ありとあらゆる策を講じている」と述べていた。(c)AFP/Amber Wang and Sean Chang