【10月5日 AFP】ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)が2022年11月、中国企業から観測衛星2基を購入する契約を結んでいたことが分かった。AFPが契約書の内容を確認した。ロシアによるウクライナ侵攻を後押しする中、ワグネルは衛星画像をグループの情報活動に役立てていた。

 AFPが確認した契約書は、英語とロシア語で書かれており、2022年11月に署名されていた。その内容は、中国企業「北京●(日へんに〈つつみがまえ・くがまえ〉と二)澤科技(Beijing Yunze Technology)」が、同じく中国の衛星開発企業「長光衛星(CGST)」の高解像度観測衛星2機を、ワグネルの当時の関連会社に売却するというものだった。

 衛星2基の価格は3000万ドル(約45億円)を上回っていた。

 欧州安全保障関係者が匿名を条件にAFPに語ったところによると、契約書には、衛星売買の他、オンデマンドで画像を提供するといった内容も含まれていた。これによりワグネルは、ウクライナに加え、リビア、スーダン、中央アフリカ、マリなど、アフリカの活動対象地域の画像を入手することができた。

 さらに23年5月下旬には、ロシア国内の画像についても提供を求めていたとされる。これは6月に失敗したロシア政府に対する反乱の際にも衛星画像を活用していたことを意味する。この反乱後、創設者のエフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は死亡し、グループは事実上解散となった。

 しかし、契約書には、ロシア国内の画像提供を求める内容の記載はなく、またAFPでは、その注文に応じて画像が提供された事実を独自に確認できていない。

 なお、中国企業からワグネルに衛星画像が提供されていたことについては、米国は既に把握していたとみられる。米商務省は2月24日、北京●澤科技と衛星画像を仲介取引した「和徳宇航技術(Head Aerospace Technology)」を制裁リストに加えると発表していた。(c)AFP/AFP's International Hub