【1月9日 AFP】イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)は8日、同国南部でイスラエル軍の空爆を受け、ウィサム・ハッサン・タウィル(Wissam Hassan Tawil)司令官が殺害されたと明らかにした。

 ヒズボラは、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)でのイスラエル軍の軍事作戦開始を契機に国境を挟んで同軍との衝突が続く中、「司令官」が殺害されたのは初めてだとしている。

 匿名を条件にAFPの取材に応じた治安筋は、タウィル氏はイスラエル国境に近い「(レバノン)南部でヒズボラの作戦を指揮する役割」を担い、ヒズボラの中で複数の要職に就いていた人物だと説明。「車に乗っていたところをイスラエル軍に攻撃され、死亡した」と述べた。

 イスラエル軍は8日にレバノンでヒズボラの「軍事拠点」を攻撃したと発表したが、タウィル氏殺害については言及していない。

 イスラム組織ハマス(Hamas)と同盟関係にあるヒズボラは、タウィル氏について、2006年のレバノン侵攻の引き金となったイスラエル兵の拉致や「シリアでの特定の作戦」に関与した他、ガザでの戦闘勃発以降はイスラエル軍に対する「数々の作戦を指揮した」としている。

 ハマスは声明で、「ガザ支援のために聖戦の使命を遂行中に殉教したウィサム・タウィル司令官に心から哀悼の意を表する」とした。

 イラン外務省のナセル・カナニ(Nasser Kanani)報道官は、「あからさまなテロ行為」だと非難。イスラエルは「中東で紛争を拡大しようとしている」と警告した。(c)AFP