■現代的なトレンドセッター

 マルグレーテ2世による退位表明は驚きと共に受け止められた。これまで、退位はしないと繰り返していたためだ。欧州で存命中の君主として最長の在位期間を誇り、在位52年で退位することになる。

 メアリー皇太子妃は、新たな言語であるデンマーク語をあっという間に習得するなど、最初からデンマークの人々に強い印象を与えた。

 昨年12月にデンマークのテレビ局TV2が発表した世論調査では、国民からの絶大な人気を集めるマルグレーテ2世、夫フレデリック皇太子に次いで、人気の王族となった。

 ファッションセンスや長いブルネットの髪で、英国のキャサリン皇太子妃(Catherine, Princess of Wales)と比較されることもしばしばあり、そのファッションは国内外の雑誌でも定期的に取り上げられている。

 また、社会問題への取り組みでも広く知られている。いじめ、ドメスティックバイオレンス(DV)、社会的孤立といった問題への取り組みや、メンタルヘルスや女性の権利の推進といった活動にも力を入れている。

 ポピュラー音楽、近現代アート、スポーツにも興味を示す皇太子夫妻について、歴史家のセバスチャン・オルデンヨルゲンセン(Sebastian Olden-Jorgensen)氏は、二人が「現代的なカップル」と見られていると言う。

 4人の子どもには、より一般的な教育をできる限り受けさせようと、主に公立の学校に通わせた。長男のクリスチャン王子は、王族として初めて保育所に通った。

 オルデンヨルゲンセン氏は、夫妻について「マルグレーテ2世ほど革命的ではない」が、現代社会への(王室の)適応に慎重に取り組んでいると指摘する。

 メアリー皇太子妃は、フレデリック皇太子と子どもたちと共に、定期的にオーストラリアに帰国している。母国でのメディアの注目度も非常に高い。(c)Camille BAS-WOHLERT