■「ロシア変節に怒り」

 ウクライナ紛争が長期化してロシアの国際的な孤立が深まる中、プーチン氏は、イスラエルとの友好関係を捨て去り、イランとの新たな同盟関係を構築した。イランはロシアに無人機を供給し、両国は西側の制裁回避のために協調している。

 イスラエルはイランが核武装国になることを懸念しており、ロシアへの反発が強まっている。

 ロシア外交に詳しいニュー・ヨーロッパ・カレッジ(New Europe College)の客員研究員、エドワード・ウェイズバンド(Edward Waysband)氏は、イランはロシアが「シリアでイスラエルを無力化する」ことを望んでいるとし、こうした状況を「イスラエルは絶対容認できない」との見方を示す。
 
 イスラエル人の言語学教授であるシリル・アスラノフ(Cyril Aslanov)氏は、ソ連崩壊以来のイスラエルとロシアの「いわゆる関係改善」が、「幻想にすぎない」ことをガザ紛争は露見させたとの見解を示した。

 アスラノフ氏はかつてロシアを往来してユダヤ文化を広めるために大学を訪問したが、ロシアで反ユダヤ主義的な事件が起きたり、一部地域への渡航勧告が出されたりしており、友好関係は過去のものになったとの認識を示した。

 ネタニヤフ首相は12月初旬のプーチン氏との電話会談で、「ロシアとイランの危険な協力関係」を批判し、国連でのロシアの立場に不満を表明した。

 ウェイズバンド氏によると、ロシアはガザ紛争が米国やその同盟国を非難する好機と判断するとともに、自らをグローバルサウス(新興・開発途上国)の代表者やエルサレム(Jerusalem)の「正教徒」の擁護者として位置付けている。

 ミルマン氏は、ロシアが反西側の言説を展開することを優先し、イスラエルが米国と密接な同盟関係を組む中、ロシアは「実質的に西側と対峙(たいじ)する同盟の一員であるとの立場を受容している」との考えを示した。(c)AFP/Blaise Gauquelin