【12月26日 AFP】仏俳優など著名人約60人がこのほど、性的暴行疑惑が再注目されているフランスの著名俳優ジェラール・ドパルデュー(Gerard Depardieu)さん(74)が「リンチ(私刑)」を受けていると非難する公開書簡に署名した。書簡は25日、仏紙フィガロ(Le Figaro)に掲載された。

 200本以上の映画やテレビ作品に出演経験があるドパルデューさんは、2020年には性的暴行の容疑で訴追されたほか、女性十数人が性的嫌がらせや性的暴行の被害を訴えている。

 今月フランスの国営テレビで、ドパルデューさんが2018年に北朝鮮で性差別的な発言をしている様子が放送された。これを受け、同氏の性的暴行疑惑が再び注目され、激しい非難を浴びている。

 公開書簡に署名したのは英俳優のシャーロット・ランプリング(Charlotte Rampling)さん、元仏大統領夫人で歌手のカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)さん、仏俳優のピエール・リシャール(Pierre Richard)さん、ドパルデューさんの元パートナーで俳優のキャロル・ブーケ(Carole Bouquet)さんら。

 俳優らは「ジェラール・ドパルデューはおそらく最高の俳優だ」「これ以上、彼が直面しているリンチについて沈黙を守ることはできない」と訴え、同氏への攻撃を「憎悪の激流」と表現した。

 また「無罪推定の原則が無視され」ているとも指摘。ドパルデューさんが「もし有名な映画俳優でなければ」この原則を享受していたはずだとつづった。

「ジェラール・ドパルデューをこうした形で攻撃するのは、芸術を攻撃するのと同じだ」「フランスは彼に大きな借りがある。映画と舞台はユニークで素晴らしい人柄の彼なしではやっていけない」

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は先週、ドパルデューさんが「犯人探し」の標的になっていると発言。人権団体などはマクロン氏の発言は、性暴力を受けた経験がある全ての女性に対する「侮辱」だと非難した。

 リマ・アブドゥルマラク(Rima Abdul Malak)文化相は、同氏に授与した同国の最高勲章、レジオン・ドヌール(Legion of Honour)を剥奪する可能性を示した。(c)AFP