【12月22日 KOREA WAVE】
スマートフォン上のユーザー音声やキーボード入力などを活用したメンタルヘルスの診断技術=KAIST(c)KOREA WAVE
スマートフォン上のユーザー音声やキーボード入力などを活用したメンタルヘルスの診断技術=KAIST(c)KOREA WAVE

韓国科学技術院(KAIST、イ・グァンヒョン総長)は21日、電気や電子工学部のイ・ソンジュ教授の研究チームがユーザーの言語使用パターンをスマートフォンで自動的に分析し、メンタルヘルス状態をモニタリングする人工知能技術を開発したと明らかにした。

スマートフォンを使うだけでもユーザーのメンタルヘルス状態を分析や診断することができるという。機器外部にデータを出さない人工知能技術を適用した。

研究チームは臨床で患者と話す際、患者が使用する言語を分析して精神疾患を診断するという点に着目。今回の技術では▽ユーザーが作成した文字メッセージなどキーボード入力内容▽スマートフォンのマイクでリアルタイム収集されるユーザーの音声データ――をもとにメンタルヘルス診断を実施する。

利用者の言語データは敏感な情報を含んでいる可能性があり、活用が難しかった。これを解決するために、ユーザーの機器の外部にデータを出すことなく人工知能モデルを学習し、プライバシー侵害の心配をなくした。

人工知能モデルは日常会話の内容と話者のメンタルヘルスに基づくデータセットを基盤に学習される。スマートフォンでの対話をリアルタイムで分析し、学習された内容を基にユーザーのメンタルヘルスの尺度を予測する。

さらに、研究チームはスマートフォンに入るユーザー言語データから効果的にメンタルヘルス診断をする方法論を開発した。言語使用パターンが実生活の中の多様な状況によって異なるという点に注目した。スマートフォンの上で与えられる現在の状況に対する手がかりに基づいて、AIモデルが相対的に重要な言語データに集中するように設計した。

仕事時間よりは夕方の時間に家族や友人と交わす対話にメンタルヘルスをモニタリングする手がかりが多いと判断し、そこに重点を置いて分析する。

イ・ソンジュ教授は「精神疾患で苦しんでいる人が多いが、個人情報の流出やプライバシーを冒す心配なくスマートフォンを使うだけでメンタルヘルス状態を早期診断できるようになった。今回の研究がサービス化され社会に役に立てれば良い」との所感を明らかにした。

今回の研究はモバイルセンシング、自然言語処理、人工知能、心理学専門家らの協力で実施された。この研究は科学技術情報通信省の予算で情報通信企画評価院の支援を受けて実施された。論文は6~10日にシンガポールで開かれた自然言語処理分野学会EMNLPで発表された。論文のタイトルは「FedTherapist: Mental Health Monitoring with User-Generated Linguistic expressions on Smartphones via Federated Learning」。

(c)KOREA WAVE/AFPBB News