【12月23日 AFP】イスラム組織ハマス(Hamas)による10月7日の襲撃と、それに続く紛争で人々が負った心の傷は、イスラエルのコメディアンに「笑いの限界」を知らしめた。

 テレビ番組「エレツ・ネヘデレト(Eretz Nehederet、素晴らしい国)」は、イスラエルのゴールデンタイムで20年間放送されてきた人気のコメディー番組だ。皮肉の効いたきわどい内容は、米国の「サタデー・ナイト・ライブ(Saturday Night Live)」や、「ザ・デーリー・ショー(The Daily Show)」にも通じる。

 イスラエル当局は10月のハマスの奇襲で1200人が死亡し、240人が拉致されたと発表した。その後、番組は3週間にわたって放送を休止した。

 番組プロデューサーのムリ・セゲブ(Muli Segev)氏は「われわれは喪に服していた。全員、誰か大切な人を失ったり、そういう知り合いがいたりした」と述べた。

 だが、新しい番組名「エレツ・ニルヘメト(Eretz Nilhemet、戦争の地)」の下、放送は再開された。番組ではイスラエルを非難する人々を風刺する数々のコントが展開される。

「死を目の前にして笑う──ユダヤ人はいにしえからこれを境地としてきた」

 あるコントはハマスのガザ地区トップ、ヤヒヤ・シンワル(Yahya Sinwar)氏と、ハマスに同情的な西側ジャーナリストのインタビューを模していた。ジャーナリスト役の俳優は、ハマスによってイスラエルから「拉致された赤ん坊の泣き声がうるさくて、インタビューをするのが大変」とこぼした。

 米国の大学の親パレスチナ派の学生を風刺するコントもあった。ある大学生のグループが、ガザにいる「BFF」とビデオ通話をする一幕だ。BFFは「Best Friends Forever(永遠の親友)」を意味する頭字語だが、このコントでは「Bestie Freedom Fighter(自由戦士の親友)」という意味になっていた。