【12月14日 AFP】オーストラリア・ニューサウスウェールズ(New South Wales)州の刑事控訴裁判所は14日、実子4人を殺害した罪で20年間服役していた母親の再審で、自然死であるとの科学的証拠を認め、有罪判決を取り消した。

 キャスリーン・フォルビッグ(Kathleen Folbigg)さんは、1989~99年に乳幼児4人を死なせたたとして有罪判決を受け、2003年に収監された。

 フォルビッグさんは「豪史上最悪の女の連続殺人犯」とも呼ばれたが、20年以上無実を訴え続けていた。今年、子どもたちは自然死だったとの主張が認められたことで恩赦を受け、釈放されていたが、今回正式に有罪を取り消された。

 フォルビッグさんは有罪取り消しを受け、報道陣に対し「約四半世紀の間、疑いの目と敵意にさらされてきた。あらゆる形で虐げられてきた」「最新の科学と遺伝学が、子どもたちの死因を解明してくれたことに感謝している」と述べた。

 この事件では、法医学的証拠がなかったにもかかわらず、当時生後19日~18か月だった子ども4人をフォルビッグさんが窒息死させたと断定された。パトリックちゃん、サラちゃん、ローラちゃんについては殺人罪で、カレブちゃんについては過失致死罪で有罪が言い渡された。

 その後、科学の進歩により、子どもらに珍しい遺伝子変異や先天的欠損があったことが判明した。

 科学調査は、国内の著名研究者らが所属するオーストラリア科学院(Australian Academy of Science)が行った。(c)AFP