【9月6日 AFP】米国で1975年に起きたレイプ事件の犯人とされていた黒人男性に対する有罪判決がDNA鑑定の結果、覆った。検察が5日、明らかにした。DNA鑑定を通じての雪冤(せつえん)としては、米国史上最も長い年月を要した事案となった。

 無罪を勝ち取ったのはレナード・マックさん(72)。ニューヨーク州グリーンバーグ(Greenburgh)で75年、学校から帰宅途中の10代の少女をレイプしたとして逮捕された。その後有罪判決を受け、7年半服役した。

 しかし、ウェストチェスター(Westchester)郡検察によると、冤罪(えんざい)被害者の救済団体「イノセンス・プロジェクト(Innocence Project)」の働き掛けを受けてDNA鑑定を行ったところ、マックさんは犯人ではないと結論付けられた。真犯人も見つかり、犯行を自供したという。

 郡検察は「イノセンス・プロジェクトが把握している、DNA鑑定を通じて有罪が覆った事例としては最も長期間を要したものとなる」と指摘。半世紀近くにわたって無罪を勝ち取るため闘ってきたマックさんの「不屈の」精神をたたえた。

 米国では黒人の冤罪率が白人に比べて高いとされる。「米冤罪事件データベース(National Registry of Exonerations)」によれば、全人口に占める黒人の割合は13.6%にとどまるが、1989~2022年に雪冤を果たした3300人のうち、半数以上を黒人が占めている。(c)AFP