【12月13日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は12日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相に対し、同国はパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への「無差別爆撃」によって、イスラム組織ハマス(Hamas)掃討作戦への国際社会の支持を失う恐れがあると警告した。

 バイデン氏は首都ワシントンで開かれた集会で、イスラエルは10月7日のハマスによる奇襲攻撃後、「世界中の大半から支持」されたが、「無差別爆撃によって、その支持を失い始めている」と述べた。

 ネタニヤフ氏に第2次世界大戦(World War II)で連合国がドイツを「じゅうたん爆撃」し、日本に原爆を投下したことを引き合いに出されたが、戦後、「同じことが繰り返されないように」国際機関が設立されたのだと説明し、2001年9月11日に起きた米同時多発攻撃の後、米国は「過ち」を犯したと繰り返し伝えたという。

 バイデン氏はネタニヤフ氏について、自身が率いる対パレスチナ強硬派による右派連立政権に関して「厳しい決断」を迫られていると指摘。「彼は良い友人だが、政権と共に変わらなければならないと思う。この政権のせいで、彼は身動きが取れなくなっている」と述べた。

 ネタニヤフ政権については、「イスラエル史上最も保守的」で、イスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決」を望んでいないとの認識を示した。

 バイデン氏の発言は、ハマス掃討後のガザの統治をめぐるイスラエルと米国の溝の広がりを浮き彫りにしている。米政府は、パレスチナ自治政府がガザを統治すべきだと訴えているが、イスラエルでは冷ややかに受け止められている。

 ネタニヤフ氏は12日のバイデン氏との協議後、ハマス掃討後のガザの統治の在り方について、米国との間に「見解の相違」があると述べた。

「合意に達する」ことを願うとした上で、1993年にパレスチナの暫定自治を認めたイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)とのパレスチナ暫定自治宣言(オスロ合意)に言及し、「オスロ合意の過ちは繰り返さない」と明言した。(c)AFP/Danny KEMP