【12月11日 AFP】フランス政府が、北部リール(Lille)にある国内最大のイスラム系高校への助成を打ち切ると、自治体当局が10日夜、AFPに明らかにした。同校をめぐっては、教育内容などが物議を醸していた。

 問題になっているのは、20年前に創立された学校「アベロエス(Averroes)」。同校の資金調達とイスラム教の道徳に関する教育内容を精査した諮問委員会が、助成の打ち切りを提言していた。

 フランスでは、あらゆる児童・生徒に対して門戸を開き国の教育指針を順守する限り、政府との契約の下、私立校であっても国の助成を受けられる。

 しかし県の関係当局は、7日に下された決定により、同校に対する助成の取り決めが来年取り消され、助成金も打ち切られると述べた。

 日刊紙パリジャン(Le Parisien)によると、諮問委員会が同校の運営に不適切な点を認め、特にイスラム教の道徳に関する教育内容にフランスの共和国の価値観に反する部分があったと判断した。

 また同校の授業では、性的少数者といったテーマなど、社会問題に関する内容が欠如しており、宗教面では、他の宗教にとって有害なほどイスラム教に過度の重点が置かれていると指摘したという。

 アベロエスは、今回の決定が発表される前から、助成が打ち切られれば行政裁判所に申し立てを行う方針を示していた。

 生徒数は約800人で、うち400人が国の助成対象となっている。生徒の学力は高い評価を受けているものの、同校が2014年にカタールから補助金の給付を受けたことが地元当局の目に留まっていた。

 2020年に行われた全国規模の学校監査では、国の指針と相容れない点は指摘されていなかった。しかし自治体は先月、同校に違法な資金調達の疑いが浮上した上、棄教者に対する死刑を支持したり、男女の空間分離を是認したりする内容の文書を生徒が閲覧できる状態にしていたと報告していた。(c)AFP