【12月11日 AFP】アルゼンチンで10日、自由至上主義(リバタリアン)を信奉するハビエル・ミレイ(Javier Milei)氏(53)が大統領に就任した。新大統領は国民に向けた第一声で、財政再建とインフレ抑制に向け痛みを伴う改革を断行する考えを示した。

 ミレイ氏は、歴代政権の放漫財政のせいで自身は「最悪の遺産」を引き継ぐ大統領になったと主張。国庫には「金がない」と訴えた。

 アルゼンチンは、過去数十年にわたり債務が累積するなど経済運営に失敗。その結果、年間インフレ率は140%、貧困率も40%に達している。

 ミレイ氏は、自身が大統領選で勝利したことは「ベルリンの壁崩壊」に匹敵する歴史の転換点になると豪語。経済立て直しの唯一の解決策は「ショック療法」だとし、「短期的には状況は悪化するが、その後には努力の果実がもたらされるだろう」と説いた。

「無政府資本主義者」を自称するミレイ氏は、具体的には国内総生産(GDP)比5%相当の歳出削減案を示した。手始めに、閣僚の人数をこれまでの18人から9人に半減させた。

 ただ、議会内での自身の党の勢力が弱いこともあり、選挙戦で掲げていた、中央銀行の廃止や米ドルの法定通貨化といった改革案は影をひそめた。

 大統領就任式典にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領のほか、ロシアに融和的なハンガリーのオルバン・ビクトル(Viktor Orban)首相、右派のブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領らが出席した。(c)AFP/Javier TOVAR / Fran BLANDY / Martín RASCHINSKY