【12月8日 AFP】イスラム組織ハマス(Hamas)の人質となっていたタイ人夫婦が6日、東北部ウドンタニ(Udon Thani)県の小村に帰還した。式典も開かれ、村人らに熱烈歓迎されたが、拘束の後遺症はまだ完全には癒えておらず、抱えている借金も頭痛の種となっている。

 この夫婦はブントム・パーンコンさん(45)とナッターワーリー・ムンカンさん(35)。11月にハマスに解放された最初のタイ人人質17人のうちの2人だ。

 ブントムさんはAFPに対し、「大きな音を聞くとパニック発作に襲われる」と語った。パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での拘束期間中に聞いた爆撃音がよみがえるという。

 6年前、ブントムさんはイスラエルに渡り、南部の農場でナッターワーリーさんと一緒に働いていた。拘束は別々だった。ハマスがイスラエルに越境攻撃を仕掛けた10月7日の時点で、同国には約3万人のタイ人がいたとされる。

 多くのタイ人は期限付きの契約労働者として、農場で働いている。

 ナッターワーリーさんは約5万バーツ(約21万円)相当の月収を得ていた。自身の収入は、タイにいる、前夫との間の子ども2人の養育費に充てていた。

 タイ労働省は、ハマスに解放され、帰国した自国民1人につき約5万バーツの慰労金の支給を約束した。政府は最大15万バーツ(約63万円)の低利融資枠も導入するとしている。

 しかし、ナッターワーリーさんは、受け取った慰労金は半額に満たないと打ち明けた。家族を養い、50万バーツ(約210万円)に上る借金を返済するには、さらなる支援が必要だと訴える。

 ナッターワーリーさんは、借金返済のため「次の出稼ぎ口を探している」と話した。おそらくオーストラリアになりそうだという。(c)AFP/Montira RUNGJIRAJITTRANON