【12月7日 AFP】レバノンで10月、取材中だったジャーナリスト1人が死亡、6人が負傷したイスラエル軍の攻撃について、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)とヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は7日、「戦争犯罪」としての捜査が妥当との見解を示した。

 事件は10月13日、レバノン南部のイスラエル国境付近で発生。ロイター通信(Reuters)のイサム・アブダラ(Issam Abdallah)氏(37)が即死したほか、同社の2人、カタールのアルジャジーラ(Al Jazeera)の2人、フランス通信(AFP)の2人が負傷した。

 このうち、AFPカメラマンのクリスティナ・アッシ(Christina Assi)氏(28)は重傷を負い、後日片脚の切断を余儀なくされた。現在も入院している。

 両団体は独立調査で、アブダラ氏が死亡し、アッシ氏が重傷を負った最初の攻撃について、イスラエル側から発射された戦車の砲弾によるものだったと結論付けた。これは同日、AFPが公開した調査結果とも合致する。

 これを受けて両団体は、民間人への直接攻撃だった可能性があり、戦争犯罪として捜査されるべきだとの認識を示した。

 アムネスティの中東・北アフリカ担当者は「イサム・アブダラ氏の非道な殺害と他の6人のジャーナリストへの傷害に対して責任を負う者は罪を追及されるべきだ」と述べた。

 その上で、「いかなるジャーナリストも、単に任務を遂行しているだけで標的になったり殺害されたりすることがあってはならない。イスラエルはジャーナリストの殺害や攻撃に及んでも罰されないということがまかり通ってはならない」と強調した。

 アムネスティによると、裏付けが取れた画像から「ジャーナリスト7人が『プレス』と明示された防弾チョッキを着用しており、ロイターの青い車のボンネットには黄色いテープで『TV』と記されていた」ことが分かるという。

 また、HRWの担当者も「証拠から、イスラエル軍は攻撃対象がジャーナリストだと把握していたか、把握していてしかるべきだったということが強く示唆されている」として、「これは容易に判別可能な報道陣に対する、非道かつ明らかに意図的な攻撃だ」と指弾した。(c)AFP