【12月7日 AFP】イスラエルの入植活動を監視するNGO「ピース・ナウ(Peace Now)」によると、イスラエル当局は1738戸の住宅建設を新たに承認した。その半分はイスラエルが併合を宣言している東エルサレム(East Jerusalem)に設置されるという。

 ピース・ナウは声明で新設されるロウアーアクエダクト(Lower Aqueduct)地区について、第3次中東戦争前のイスラエルとパレスチナの境界線「グリーンライン(Green Line)」の両側にまたがって建設されると説明。「ギブアットハマトス(Givat Hamatos)地区とハルホマ(Har Homa)地区の間に位置するこの戦略的な立地は、政治的な観点から特に問題だ」と指摘した。

 これについてピース・ナウのハギット・オフラン(Hagit Ofran)氏はAFPに対し、「イスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の紛争が起きていなかったら、大騒ぎになっていただろう。パレスチナ領の地理的な連続性にとって、非常に問題のあるプロジェクトだ」と述べた。

 グリーンラインとは、1948年のイスラエル建国を引き金に翌年、それを認めないアラブ諸国との間で起きた第1次中東戦争の休戦協定で定められた境界線を指す。

 グリーンラインによってエルサレムは東西に分けられ、西エルサレムはイスラエルの統治下に入り、東エルサレムは1967年の第3次中東戦争までヨルダンが統治していた。イスラエルは第3次中東戦争で東エルサレムを占領。その後、併合を宣言したが、国連(UN)は承認していない。

 パレスチナ外務省は5日、イスラエルは「国際的な注目がガザ紛争に集まっている事態を利用して、占領下のエルサレムにおける入植地建設を承認した」と批判。「エルサレムを入植地と入植者で埋め尽くす」とともに、「周囲のパレスチナ領から切り離す」計画の一部だと糾弾した。

 入植活動に反対するNGOイル・アミン(Ir Amin)によると、東エルサレムには現在、パレスチナ人が約30万人、イスラエル人が約20万人住んでいる。

 占領地におけるイスラエルの入植活動は国際法に違反している。(c)AFP