【11月29日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)のイスラエルとの境界に近い村で、チーズのサンドイッチを朝食にする家族。メニューは普段と変わらないが、それを食べる自宅は廃虚と化している。

 ガザを実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)とイスラエルの戦闘が一時休止され、戻ったわが家の壁は崩れ、家具や家電はコンクリートのがれきに埋もれていた。

 
 家族9人で避難していた南部ハンユニス(Khan Yunis)の学校から、自宅のあるアバサン(Abasan)まで徒歩で帰ってきたという女性(46)は、「家は完全に破壊されていた。27年間かけて建てたのに何も残ってない」と嘆いた。

「2日間は食事が喉を通らなかった。でも生き続けなければと自分に言い聞かせた」と言う女性は、子どもたちの方を見ながら「家は壊されても子どもたちは生きている。一度建て直したものなのだから、また建て直せる」と語った。

 通りの反対側では男性が、自宅の跡を見つめて立っていた。「私たちはみんな農民かタクシー運転手だ。レジスタンス(ハマス)とは何の関係もない」

 近くには廃材や布を集めて仮設の小屋を造る男性(46)がいた。「戦争が終わったら、妻と7人の子どもたち、そして母と一緒にここへ戻って来る」。それぞれ7人の子を持つ兄弟も「血のにじむ思いで建てた家を失った」ため、テントがさらに必要になるだろうと話した。

 息子のアブデサマド君(12)が、電灯と薪になる木を見つけたと言って駆け寄ってきた。子どもたちは、やはりイスラエル軍に空爆された国連(UN)学校のそばで地面に座って遊んでいた。

「戦争は本当に怖かった。でもいいこともある」と言ったのは、友達のナビル君(8)だ。両親に聞かれたら困ると笑いながら「学校も壊されたから、しばらく行かなくていいんだよ」と話した。(c)AFP/Mai Yaghi