【11月29日 AFP】サーフィン界のレジェンドであるケリー・スレーター(Kelly Slater)が、2024年パリ五輪のサーフィン競技が行われるタヒチ(Tahiti)の有名ビーチに、巨大タワーを建設する計画に反対の意向を示した。

 パリ五輪のサーフィンについては今月、組織委員会が会場の変更を否定し、「より控えめ」な審査員タワーを建設することで仏領ポリネシア政府と合意したと発表した。しかし、タワーの建設は地元の猛烈な反発に遭い、環境団体からも抗議の声が上がっている。

 11度の世界王者に輝いたスレーターも、組織委の改訂案を評価していない。政府の妥協案を批判する地元サーファーの動画に対する返信で、スレーターは「2日間のイベントのために、これだけ巨大なタワーを建てるのは理屈に合わない。河川改修で今年引き起こされたすべての洪水被害のために、お金を町のインフラ整備に回してくれ」と話した。

 組織委は審査員が競技をより適切に評価できるよう、会場に指定されているサーフィンの世界的名所チョープー(Teahupoo)の海上に高さ14メートルのアルミ製構造物の建設を検討しており、この計画に対して現地では数百人がデモ活動を行った。

 地元団体は、このタワーの建設によりサンゴが修復不能になるほどの損傷を受けると主張。計画に反対するオンライン署名には16万人以上からの賛同が集まっている。

 これを受けて組織委は計画を変更。改訂された計画ではタワーのサイズと重量が以前の木造タワーと同等になり、基盤にかかる重量が軽減されるため、掘削の深さを減らすことができるという。

 スレーターは、今ある木造タワーを使うか、「土台はそのままでフレームを組み直す」ことを提案しているが、組織委は木造タワーは「約10年前から基準を満たしていない」と話している。(c)AFP