【11月22日 AFP】国連(UN)は21日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で燃料・水不足、公衆衛生の悪化に加え、医療施設への攻撃と多数の避難民が過密状態で暮らしていることから、「悲劇のパーフェクトストーム(複数の悪い事が同時に起こる状況)」がつくられていると警告した。

 国連による統計を一部まとめた。

■子どもへの影響

 ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)は先月7日、イスラエルを急襲。イスラエル当局によると、約1200人が殺害され、約240人が人質として拉致された。死者の大半は民間人だった。

 イスラエルは報復としてガザ地区への爆撃と陸上侵攻を実施。ハマスの保健当局によると1万3300人以上が死亡、うち少なくとも5600人が子どもだった。

 世界保健機関(WHO)は21日、ガザ地区では1日当たり約160人の子どもが殺害されていると発表。また、国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)はこの数が爆発的に増える恐れがあると警鐘を鳴らしている。

 ユニセフのジェームズ・エルダー(James Elder)報道官は「ガザ地区で子どもの水と衛生へのアクセスが制限され続ければ、子どもの死者は悲劇的に増加する」とし、これは「完全に回避可能な」悲劇だと指摘した。

■深刻な水不足

 エルダー氏によると、非常事態時には飲料用や衛生用、調理用として一人当たり1日15リットルの水が必要とされるが、ガザ地区の一部では1日3リットしか利用できず、全くない日もある。

「水不足は深刻だ、人口密度の高い集落に排せつ物が散乱し、トイレが許容できないほど足りていない」と指摘。この状況は「病気の流行につながるパーフェクトストーム」だと強調した。

 さらに、送水ポンプや淡水化施設、下水処理施設を再稼働させるため、ガザ地区に十分な燃料などを搬入することを至急許可する必要があると訴えた。

 現在、1日7万リットルの燃料の搬送が認められているが、国連は、人道的活動のためには1日20万リットルが必要だとしている。