【11月21日 AFP】インド北部ウッタラカンド(Uttarakhand)州で建設中のトンネルが崩落してから10日が過ぎた21日、トンネル内に閉じ込められている作業員の姿が初めてカメラに捉えられた。

 今月12日の崩落事故発生以降、トンネル内には作業員41人が閉じ込められている。救助隊は長さ500メートル近いものを含む2本の救出ルートを試みようとしている。

 救助隊は20日、トンネル内に酸素や食料、飲料水を届けていた管を直径15センチのパイプと入れ替え、内視鏡カメラを通した。当局が公開した映像によると作業員らはひげが伸び、顔に疲労と不安をにじませながらもカメラをのぞき込んだ。救助隊員は「無事助け出すので心配しないでください」と声を掛けた。

 太くなったパイプを通して初めて、温かい食事も届けられた。

 現場では、土やコンクリート、がれきの撤去作業が進められているが、さらなるがれきの落下や掘削機の度重なる故障などから救助活動に遅れが生じている。

 カメラを投入するまでは中の作業員たちとの交信は無線で行われていた。

 救助隊は当初、約60メートル分の厚さの土砂と岩に、人が通れる太さの鋼管を水平に打ち込もうとしていた。だが当局によると掘削機が硬い大岩にぶつかってしまい、割れるような音が「パニック状態」を引き起こしたため、このルートの掘削は17日に中止された。

■救助方法が複雑化

 現在は新たに2本の救出ルートが準備されている。

 1本は森に覆われた丘から垂直に立坑を掘削するルートだが、丘の頂上まで新たに道を造り、重機を移動する必要がある。また立坑の深さは約90メートルになると見積もられており、崩落現場の上部での作業は難航することが予想される。

 現地メディアによると、もう1本はトンネルの反対側から現場まで掘削するルートだが、450メートル以上の長さが必要とされる。

 作業員たちがいる空間の安定性を評価するため、ドローンの投入も計画されている。

 事故はヒンズー教の聖地へのアクセス向上を目的としたナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の肝いりプロジェクトだったトンネルで起きた。

 救出チームには、国際トンネル協会(International Tunnelling and Underground Space Association)会長で、災害調査の専門家であるオーストラリア人のアーノルド・ディックス(Arnold Dix)氏をはじめ海外の専門家が起用されている。

 ディックス氏は印PTI通信(Press Trust of India)に「この41人は帰還する」と述べつつ、「それが正確にいつになるかは分からない」と語った。(c)AFP