【11月20日 AFP】アルゼンチンで19日、大統領選の決選投票が行われ、独立系右派でリバタリアン(自由至上主義者)のハビエル・ミレイ(Javier Milei)候補(53)が、正義党(ペロン党)を中核とする与党連合候補のセルヒオ・マサ(Sergio Massa)経済相に勝利した。

 アルゼンチンではインフレ率が143%に達しており、貧困率も過去最悪水準に上昇している。エコノミストで、政治的には無名の存在だったミレイ氏が、現政権の経済失政にノーを突きつけた形だ。

 開票率約90%の段階で、ミレイ氏の得票率は56%、マサ氏は44%。マサ氏は敗北宣言を行った。

 ミレイ氏のトレードマークはぼさぼさの髪ともみあげ。過激発言を繰り返し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領やブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領にも擬せられてきた。

 公約の柱として、「インフレのがん」を除去するため通貨の「ドル化」や中央銀行の廃止を提唱。人工妊娠中絶反対、銃所持合法化、主要貿易国の中国やブラジルとの関係凍結などの考えを表明している。

 アルゼンチン出身のローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)を侮辱したことがあるほか、過去の独裁政権下での死者数に疑問を呈したり、気候変動は人為的なものではないと主張したりするなど、歯に衣(きぬ)着せない発言が多い。

 大統領就任は12月10日の予定。(c)AFP/Fran BLANDY