【11月16日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のボルカー・ターク(Volker Turk)高等弁務官は16日、イスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の衝突で国際人道法違反の深刻な疑いがあると非難し、国際的調査の必要性を示唆した。これを受けてイスラエル側は、国際法は「自殺協定ではない」と反発した。

 ターク氏は先週、中東を視察。その際、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での今回の紛争で、イスラエルとハマスの双方が戦争犯罪に及んでいると警告していた。

 スイス・ジュネーブで16日、国連(UN)加盟国に対して行った説明でターク氏は、「国際人道法の度重なる重大な違反があったとする極めて深刻な疑惑が浮上しており、誰が犯したのであれ、入念な調査と徹底的な責任追及を要する」と指摘した。

 さらに、「双方が民間人の殺害を、やむを得ない副次的被害、あるいは故意に用いる有効な戦争の武器だと見なしていることは明白であり、これは人道と人権における大惨事だ」と述べ、自身からの最も重要な勧告として、全ての当事者が全ての人間の命を等価だと認めなければならないと訴えた。

 ターク氏の報告を受け、イスラエルのメイラブ・エイロン・シャハル(Meirav Eilon Shahar)駐ジュネーブ国連大使は、国際法は「自殺協定ではない」と発言。

 シャハル氏は、もし国家が自衛できなかったり、「自衛することが国際法に基づいて批判されたりすれば、テロ組織は一層大胆になってこういった手法を取り続け、それでも国際的な支持が得られると自信を強めるだろう」と述べた。(c)AFP