【11月13日 CNS】中国最大のECプラットフォーム「淘宝(タオバオ、Taobao)」に10月30日、CMRI8676という番号の5Gチップが新たに登場したことが分かった。商品画像の説明によると、このチップは「破風8676」と名付けられ、「中国初の商用再構成可能5G無線周波数モデムチップ」で、売価は99万9999元(約2075万円)だ。このチップは、その独特な用途と「ハードコア」な価格設定から、ネットユーザーにおどけて、中国最大のEコマース商戦の「ダブル11(双11)」期間中最も「ハードコア」な中国製品と呼ばれている。

 このチップは中国移動通信研究院が自主開発したもので、「国資小新」という淘宝店舗に掲載されている。製品紹介ページによると、「破風8676」再構成可能5G無線周波数モデムチップは1.7GHZ-6GHzの周波数範囲に対応し、全世界の主流の4G/5G帯域、Wi-Fiおよび中国国内車載ネットワーク帯域で使用可能となる。

 チップ業界の専門家は、無線周波数モデムチップはアナログ信号とデジタル信号の間の高速変換の役割を担っていると指摘した。そして、再構成可能なアーキテクチャ設計により、チップのコア仕様パラメータ、モジュールアルゴリズム、機能などの再設定が可能で、一つの「コア」で多用途への対応を支え、コストを効果的に削減し、大規模な普及を促進できる。

 中国移動通信集団(チャイナモバイル、China Mobile)によると、このチップは今年8月末に開発に成功したとのことだ。このチップの開発は主に、現在の市場が5Gの多周波数帯域、多種の方式、多基地局タイプの応用ニーズに対応するためだという。このチップの開発を担当した中国移動通信研究院の関連チームは、再構成技術アーキテクチャを革新的に提案し、システムインテグレーションという方法によって現在の5Gチップの単一性能のボトルネックを解消した。

 しかし、このチップの市場での応用はまだ探求の段階にある。今年10月中旬に開催された「2023中国移動グローバルパートナー大会」期間中、中国移動はこのチップについて中興通訊(ZTE)、京信通信(Comba)、鋭捷網絡(Ruijie Networks)などの機器メーカーと正式に応用協力契約を締結し、この製品の商用化を推進した。現在、「破風8676」チップはすでに上記の複数の通信ハードウェア機器メーカーの完成機器に組み込まれている。今後はクラウド基地局、ピコセル(小型の携帯電話基地局)、フェムトセル(家庭用超小型の携帯電話基地局)などのネットワーク機器に代表される次段階の5G低コスト、高制御性能の商用ネットワーク建設で重要な役割を果たしていくだろう。

 公開情報によると、このチップを販売している淘宝店舗の「国資小新」は、国務院国有資産監督管理委員会の下部機関が運営している。(c)CNS-第一財経/JCM/AFPBB News