【11月11日 AFP】カンボジアの首都プノンペン郊外ののどかな水田地帯に、歯をむき出してほえる巨大なゴリラが立っている。素材はすべて古タイヤ。同市の美術学校で学んだカンボジア人アーティスト、ミエン・ティスピエプ(Mean Tithpheap)さん(37)の作品だ。環境汚染を防ぐため、他のアーティストにも廃棄されたゴムやプラスチックを再利用した作品をつくってほしいと訴える。

 高さ2.5メートルの「キング・コング(King Kong)」像は、自転車とバイクの古タイヤ500個を使い、2人の助手と共に5週間以上かけて作り上げた。

 4年前からタイヤを素材にした像を制作。依頼を受けてこれまでにキング・コング、象、ライオン、コブラ、ガルーダ(神話に登場する一部が人間の姿をした鳥)など、約40体の像を手掛けてきた。

 最も人気があるキング・コング像の値段は、大きさによって2000〜3000ドル(約30万〜45万円)。カフェの依頼を受けて「キャプテン・アメリカ(Captain America)」の像も制作中だ。工房の入り口には、同じく古タイヤで作られた巨大なコブラ像が立っている。

「自転車やバイクの古タイヤを使って作っている。こういうタイヤは廃棄物だから。私たち(アーティスト)がリサイクルできれば、環境保護につながる」とAFPに話した。

 カンボジア政府は対策に乗り出しているが、廃棄物処理問題は深刻化している。人口および国民の所得と消費が増加し、都市化が進む一方、廃棄物の収集と処理は追いついていない。

 プラスチック消費が一般化する一方で、廃棄物処理のインフラが不足しているため、プラごみの効果的なリサイクルは不可能に近く、水路や緑地の一部にごみが積み上げられている。(c)AFP